緊急自体宣言終息後、暮らしが戻る決め手は 1. 感染者数は使えない

緊急事態宣言の終わりが見えてきた。5月14日、39県で緊急事態宣言が解除され、残る8都道府県についても「31日を待つことなく解除」される見込みが高くなった。

とは言えこのままコロナが消え失せてしまう可能性はほとんどない。感染者数の再増加は避けられないだろう。

問題はまた人の移動と経済活動の制限が繰り返されるかどうかだ。

それは大きくいって二つの要因によって決まる。感染者数と医療キャパシティだ。

前者を知るのは、簡単なようで簡単ではない。最も妥当な方法は統計的に有意な人数に対して無作為に検査を定期的に行うことだ。精度は低くても簡易な検査キットが開発されているので、技術的には難しくない。でもケチな政府がこれを実施するかどうかは疑わしい。

とは言っても、これまで行ってきた検査を増やせば感染者数が分かる訳ではない。これまで日本政府はPCR検査を抑制してきたので、政府発表の感染者数はとても少ない。今でも約束した検査数2万件を達成できていない。PCR検査を大幅に増やすことは望み薄だろう。

他方、大阪や東京は感染者数ではなく陽性率の推移を「アラート」の基準とすると言っているが、おかしな話だ。陽性率は検査した人数で感染者数を割ったものだが、現状では検査数を増やせば下がる。

周知のように、体調を崩して検査を望んでも検査までたどり着ける人はごく僅かだ。高熱が何日も続いて医者がコロナの恐れありと言い、さらに保健所が引き受けるま検査しない。検査にたどり着いた人の感染率は、検査を望む人全員を検査した場合よりはるかに高いだろう。逆に希望者全員を検査すれば要請率は自動的に下がる。

こんなものは基準にできるはずがない。悪意に考えると、東京都や大阪府は検査を拡大して陽性率を引き下げ、「事態は鎮静化した」というつもりなのか、あるいは検査を現状並みに抑制し続けるつもりなのか、どちらかだろう。どちらにしても陽性率は知事の政治的思惑で操作できる数字だ。

他方、政府は大規模な抗体検査を導入すると言っている。抗体検査の結果によって陽性率は意味がないと言い出すのかもしれない。

なぜそのように考えるのかを説明する。抗体検査は過去に感染しているかどうかを知る検査であり、隠れ感染者がどのくらいいるかがわかる。それは発表されている感染者数よりはるかに多くなるだろう。

ニューヨーク州の最新の抗体検査だと感染者数は全人口の12.3%だった。

仮にこれが首都圏にも当てはまるとすると首都圏3000万人のうち369万人が感染していることになる。

さすがに首都圏の検査結果はそこまで高くはないかもしれないが、5%を下回るとは考えにくい。それでも150万人、公表済みの感染者数(5055人 5月17日)の300倍弱となる。

政府は抗体検査の結果を示して、「感染している人の数は問題ではない。重症化した人(あるいは死亡した人)の数に注目すべきだ」ということができる。従来の立場を変えるわけだが、そんなことは日常茶飯事なので気にしないだろう。「無闇に検査すると医療崩壊を招く」と言っていたのに、掌を返すように「検査の充実は大事だ」と言い出したばかりだ。

しかし重症者と死者の判定は恣意的であることはすでによく知られている。ニューヨーク州でも施設や自宅で死亡した人を加えると、コロナの犠牲者は57%増えるという。



重症者、死者の数もまた政治的に操作可能な数字なのだ。

客観的なデータ(大規模なので定期的な検査)がえられなければ、緊急事態の「再宣言」ないしは「東京アラート」の発動は、政治的な思惑で決められる可能性が高い。発表の際は、横に「専門家」が座ってもっともな数値を披露して決定を合理化することになるだろう。

さて、普通の暮らしと経済活動が再び制約される引き金をひくもう一つの要因は医療キャパシティだ。これについては次回書いてみたい。


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