投稿

5月, 2020の投稿を表示しています

緊急事態宣言解除後、暮らしが戻る決め手は 2 医療キャパシティ

感染症対応病床は、20年以上前から急速に減っており、集中治療室(ICU)も足りない。病床数は少ないが集中治療室が多いドイツとは対照的です。その結果、コロナ感染者を受け入れているのは、全病床の1.5%、2万5000床だけ(※1)です 緊急事態宣言がいよいよ全面解除となった。元の暮らしが戻ってくる決め手はなんだろうか。前回はその1として、当たり前だが感染者数をあげた。そしてその実数は検査数があまりに少ないために推測することもできず、政治的に決めることしかできない、そんなことを書いた。 暮らしの正常化にはもう一つの決め手がある。それは社会の持つ「医療キャパシティ」だ。国民にいつでも安心できる医療を提供できる能力のことだ。これを感染者数が越えると医療崩壊が起きると言われる。今回の危機にあっては、コロナ感染者にあてられる病床数、ICU他の医療機材、必要な人材などがこれにあたる。 日本の感染症対応病床は20年前から急速に削減されてきた。ICU(集中治療室)も同様だ。よく引き合いに出されるドイツは十分な病床やICUを普段から確保しており、今回の危機にあたっては周辺国から患者を受け入れるほどの余裕を見せている。日本の歴代政府に責任を負わせるのは難しいが、今後は危機に備えた医療キャパシティを確保することを政府の義務としなければいけない。これまでのような能力削減政策は許されなくなる。 さらに、医療キャパシティは常時備えるべきモノやヒトだけではない。危機に対応する能力が一層重要だ。 危機への対応能力には、柔軟に短期間にモノやヒトを調達する能力も含まれる。コロナ患者を受け入れる病院が戦場のように報道されるが、それ以外の病院や診療所は患者が来なくて経営を脅かされている。同じ病院内ですら、他の部署は閑散としている。コロナ患者を受け入れているのは、日本の前病床の1.5%に過ぎないという。日本の組織、制度はコロナのために人材、機材、病床を機動的に運用する能力に欠けている。 危機への対応能力には、人工呼吸器、医療用防具、検査キットなどを迅速に供給することも含まれる。そして日本はこれに欠けていることも暴露された。マスクですら輸入が止まれば国内で供給することができない。 こうした能力不足は、おそらくは過度の規制、個人や組織のイニシアティブ不足などによるものと思われるが、ある意味で常時蓄えておくべきモノ

緊急自体宣言終息後、暮らしが戻る決め手は 1. 感染者数は使えない

緊急事態宣言の終わりが見えてきた。 5月14日、39県で緊急事態宣言が解除され、残る8都道府県についても「31日を待つことなく解除」される見込みが高くなった。 とは言えこのままコロナが消え失せてしまう可能性はほとんどない。感染者数の再増加は避けられないだろう。 問題はまた人の移動と経済活動の制限が繰り返されるかどうかだ。 それは大きくいって二つの要因によって決まる。感染者数と医療キャパシティだ。 前者を知るのは、簡単なようで簡単ではない。 最も妥当な方法は統計的に有意な人数に対して無作為に検査を定期的に行うことだ。精度は低くても簡易な検査キットが開発されているので、技術的には難しくない。でもケチな政府がこれを実施するかどうかは疑わしい。 とは言っても、これまで行ってきた検査を増やせば感染者数が分かる訳ではない。これまで日本政府はPCR検査を抑制してきたので、政府発表の感染者数はとても少ない。今でも約束した検査数2万件を達成できていない。PCR検査を大幅に増やすことは望み薄だろう。 他方、大阪や東京は感染者数ではなく陽性率の推移を「アラート」の基準とすると言っているが、おかしな話だ。 陽性率は検査した人数で感染者数を割ったものだが、現状では 検査数を増やせば下がる。 周知のように、体調を崩して検査を望んでも検査までたどり着ける人はごく僅かだ。高熱が何日も続いて医者がコロナの恐れありと言い、さらに保健所が引き受けるま検査しない。検査にたどり着いた人の感染率は、検査を望む人全員を検査した場合よりはるかに高いだろう。逆に希望者全員を検査すれば要請率は自動的に下がる。 こんなものは基準にできるはずがない。悪意に考えると、東京都や大阪府は検査を拡大して陽性率を引き下げ、「事態は鎮静化した」というつもりなのか、あるいは検査を現状並みに抑制し続けるつもりなのか、どちらかだろう。どちらにしても陽性率は知事の政治的思惑で操作できる数字だ。 他方、政府は大規模な抗体検査を導入すると言っている。抗体検査の結果によって陽性率は意味がないと言い出すのかもしれない。 なぜそのように考えるのかを説明する。抗体検査は過去に感染しているかどうかを知る検査であり、隠れ感染者がどのくらいいるかがわかる。それは発表されている感染者数よりはるかに多くなるだろう。 ニューヨーク州の最新の抗体検査だと感染者数は全

沖縄のサンゴ礁を救うには新しいアプローチが必要

イメージ
朝の海を見てびっくり。広大な仲泊のサンゴ礁が褐色に染まっていました。5月6日早朝の豪雨で土砂が大量に流れ出し、はるか遠い岩礁に褐色の水が迫っていました。正面に見えるのはダイビングスポットとして有名な真栄田岬です。 浜辺に降りてみると、排水口近くはすでに土砂で覆われ、岩の表面を指で擦ると、分厚い粘土がこびりついて取れません。 雨が降るたびにサンゴ礁池には土砂が流れ込みます。干潮時にはすでに浜辺の4分の1が泥に覆われています。サンゴ礁池全体が土砂で埋まり、土色の干潟になるのは時間の問題でしょう。 ここから遠くない屋慶田の写真です。恩納村は沖縄本島で最も美しいサンゴ礁のエリアですが、このままでは多くの湾が屋慶田のようになるのは遠い先ではありません。 サンゴの死滅が赤土であることはわかっており、陸上では赤土流出防止の努力が払われていますが、それだけで十分でないのは明らかです。もっと抜本的な解決が必要です。 ハワイのNGOから興味深い方法を聞いたことがあります。排水口にパイプを取り付け、土砂を含む排水を直接外洋に流す方法です。これを沖縄に応用できるかどうかはわかりませんが、沖縄が革新的な対策を必要とする時期に来ているのは確かです。

検査拡大で露呈した医療のエゴとゼロサムゲーム

ようやく PCR 検査を拡大の動き 検査をようやく強化する方向に(あまりにゆっくりではあるが)、政治が動き出した。 相変わらずこれまでの責任を回避しながらとか、いろんなごまかしを孕みつつの転換で、それはそれで腹が立つけれど、それはここでは触れないことにしよう。 なぜか及び腰の医療関係者のコメント 検査数を増やす話になると、やたらに医療関係者が反対する。反対と言っても最初に「歓迎する」と言いつつ、そんなに増えたら 医療機関 がパンクするからゆっくりやれという、いわばホントは嫌なんだという感じのコメントだ。 一言でいうと、これは政府が医療に金を回さないという環境のもとで、医療関係者と市民が対立している構図だ。 市民はコロナかなと心配になれば検査してほしい。医者はそんなのまで相手にしていたら病院がパンクすると心配する。 解決は簡単で、医療に金を投じれば良い。医療機材、人員、施設など、時間はかかるがカネがあればいずれ解決する。 貧しい家庭では夫婦喧嘩が増える。夫婦のニーズが ゼロサム ゲームになるからだ。所得が増えれば多くの問題は解決する。これと同じだ。 厚労省 の規制も一因 多分もう一つ問題がありそうで、それは 厚生労働省 の規制だ。日本のお役所はなんでも規制する。特に医療は公的保険が絡むので役所が全て規制しないと気が済まない。 検査でも「保健所がパンク」とか「検査機関の能力を超えてる」とか「機器が不足」というが、保健所を通さないやり方はあるし、民間の検査機関もある。検査キットにはいろいろあるし、商売になるので世界中のメーカーが参入したがっている。そんなことはコロナ危機の初めから言われてるのに、役所が首を縦に振るまで何も動かない。 話が広がってしまうので、この規制問題もここではひとまず置いておこう。   ゼロサム ゲームの話に戻る。   与えられた環境に閉じこもる専門家会議 人間は皆自分の置かれた環境を変えようとは思わない。居心地がいいし環境を変えるのは大変だ。その環境の中で考え行動しようとする。専門家会議のメンバーは 医療機関 関係のものばかりだ。 彼らは病院や 医療機関 を守りたい、だから検査の拡大にずっと反対だった。「誰でも検査できるようになったら患者が増える」「そうしたら 医療崩壊 する」と言い続けてきた。そして「 医療崩壊 したら誰も見てやれん」と国民を脅して「

緊急事態宣言2は、ハイリスクな人たちファーストで

編 これまで一ヶ月間続いていた緊急事態宣言が、全国レベルでもう一ヶ月延長されました。   昨日の安倍首相の記者会見を見て、あと1月生き延びるにはどうするか、呆然としている人も多いと思います。 ハイリスクグループの一員として感じたのは、首相は私達のグループつまり入院している人、高齢施設あるいは 介護施設 に入所している人の不安には関心がないか、気がついてないということでした。死者の8割は高齢者であり、有病者を加えれば95%以上に上るでしょう。これを忘れて欲しくなかったので、残念です。   ハイリスクな人間にとっては、感染イコール死に直結するかもしれません。   その中でも一番怖いのはハイリスクでさらに自分を守れない人たちです。幸い私はそうではありませんが、自分が入院していたり施設に入所していたらどうだろうかと想像すると恐ろしいです。医者や介護スタッフに命を預けているのに、彼らが感染していたら、どうしようもありません。   実際、死者のうち少なくない人たちが施設や病院の集団感染の犠牲者です。集団感染の経過報告を読むと、これでは入院患者や入所者を守れるはずはないと思います。スタッフが発熱して4日間経ってから検査し、陽性と分かってから患者やのスタッフを検査しています。   千葉の障害者入所支援施設で95人の集団感染が発生した時、千葉県知事は「起きてはならないことが起きてしまった」と述べましたが、千葉でも全国でも、その後も集団感染が頻発しています。いずれの施設や病院でも現場の職員は感染予防に必死だったと言われており、問題は現場にではなく、政府の対応にあると思います。   政府はハイリスクな人々と彼らを支える人たち(これには有病者や高齢者と暮らす家族も含まれます)を全力で応援すべきです。定期的なそして優先的な検査、十分な資材と予算、そして人員の手配をぜひお願いしたい。   これは「 医療崩壊 」を避けることにもつながります。医療関係者が感染から守られ、重症者は大幅に減る(つまり病床に余裕ができる)からです。これによってリスクが低い人たちの活動規制を緩和することも容易になり、最もリスクの低い子供たちの学校再開も早まるでしょう。 コロナ対策は、ハイリスクな人たちをしっかり守ることを優先すべきです。