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「国民の半分はバカだ」という声をよく聞くが 杉本博司「ロストヒューマン」

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東京都写真美術館でした。とてもたくさんのお客さんがいてびっくりした。 構成は単純で、いろんな人の遺書が残されていて、廃墟っぽい雰囲気の陰湿な会場に、それに関連するものたちがたくさん展示されている。遺書はみな、人類が滅びるにいたった過程を簡単に書きしるし、「人類はアホだ、滅びるしかない」と締め括る内容になっている。「いろんな人」は理想主義者、政治家、ロボット工学者、WHO事務局長、養蜂家、国連事務総長と多彩で、彼らが描く滅亡のシナリオもさまざまだが、人類は救い難いというメッセージは変わらない。 途中まで面白がってみていたが、なんだか不愉快になってきた。その上から目線に嫌気がさしたためだと思う。また、展示はヤケクソな愚痴の匂いがしたからでもある。居酒屋で赤ら顔で議論する内容であり、美術館でお金を払って見るものではないと感じたのだ。 同時に少し恐ろしくなってきた。同じような口調を最近よく耳にするからだ。わたしの周りでも「日本はもうダメだ、滅びるしかない。デマゴーグは政治家を支持する日本人はバカだ」という声を聞く。同じようなことを今、トランプ嫌いのアメリカ人がテレビで語っている。極右政治家はへの支持が広がるフランスでも同様だ。 世界が気にくわない方向に舵を切り出した時、それを止められないと感じた時に起こる現象だ。 世界に問題が累積した時、システムは変化するが、良い方向に変化するか悪い方向に変化するかかは力関係にかかっている。残念ながら良い解決へのビジョンと道筋を私たちが示せないときもある。そういうとき、デマゴーグが示す悪い方向に人々が歩き出すこともある。 そんな時。私たちの取る道は二つだ。一つは逃げ出すことだが、(それはとても大事だが)まだ早そうだ。 もう一つは知恵を合わせて新しいビジョンを作り出し、道筋を見つけることだ。今はむしろその時期だとわたしは思う。 いずれにしても、苛立って他者を愚か者呼ばわりしたり、取り返しがつかないところまできたと喚き立てるのは、適当ではないと思う。 浮き足立ってはいけない。落ち着いて、よく考え、じっくり議論する、まずそこから始めよう。

トランプ勝利の意味すること

トランプ勝利。 ほぼ五分五分(どちらが勝っても誤差の範囲)と理解していたので驚きはない(「予想外」という報道はなにを根拠にしていたのか理解しにくい)。 とりあえずその意味について整理したメモ: 1  グローバリゼーションの終焉 80年代から世界に広がった経済的なグローバリゼーションはピークを過ぎ衰退を始めた 反動として自由貿易が批判され、保護主義、国益主義、新重商主義的競争を訴える声が強くなるだろう 2「普遍的価値」が世界的規範の位置を失う グローバリゼーションと連動して90年代からは「人権」「民主主義」「自由」などの「普遍的価値」が世界を支配し、逆らう国には強制された。 これからは「アジア的」や「アフリカ的」など「ナントカ固有の」民主主義が称揚され、独裁や人権侵害に対する国際的抑止は大幅に低減することになるだろう 3 多極化に対応する新しい世界秩序へ グローバリゼーションと普遍的価値を主導して来たのはアメリカだった。それはまたアメリカの国益にも合致したからだ。でもその時代は終わった。 アメリカは自国中心の世界秩序を押し付けることをやめ、多極化に対応する新しい世界秩序を認めることになるだろう。 その代わり、アメリカは世界秩序の維持コストを分担することを求め、自国の利益をあからさまに求めるようになるだろう *************** これらは私たちは高齢者にとっては、新しいことではない。戦後、1は70年代まで、2は80年代までひろく見られたことだ。 経済も政治も上昇下降を繰り返す波のようなものだ。上がったものは下がる。 でも同じところにはけっして戻らない。その違いは3、つまり覇権システムの変化が影響するからだ。 さて、自立を求めるひとびとは、グローバリゼーションと闘い、その際普遍的価値を掲げてきた。 これからも普遍的価値を求めなければならないが、他の国家の応援(国際的圧力)をあてにできなくなりそうだ(そのかわり国家間の分裂を利用できるかもしれない)。 日本では固有の問題として、反米を掲げた排外的愛国主義という、新しいそして強力な悪魔が頭をもたげてくるだろう。 さて、私たちはどちらを向いて、なにを信じて歩いていくべきなのか。多くの人たちと一緒に考えていきたい