ポケモンGOは二つの世界の衝突を呼び込んだー現実世界とバーチャル世界ー

ポケモンGOは現実空間に重なるバーチャル空間を提供し、大きな成功をおさめた。同時に二つの空間の衝突という新しい、そして将来にわたって拡大していく現象の扉を開いた。

ネットやメディアにあらわれるポケモンGOへの様々な反応ー個人的嫌悪から国家による禁止までーはそうした衝突の最初の兆しに過ぎない。そしてその中で最初に争いの場となるのは、おそらく法的な権利関係だろう。

ポケモンが学校に現れると、校長先生が削除を求める。これをわたしたちが当然とみなすのは、校長が学校という現実の空間の管理権を持っているからだ。うちの庭からポケモンを削除するよう求めるなら、それは所有権に基づく要求になるだろう。

地球上の空間は、公海と極地の一部を除けば、全て所有権ないしは管理権が設定されている。バーチャル空間との競合は早晩避けられない。そしてそれは常に現実世界の勝利に終わるのだろうか?

ポケモンGOについては、すでに現実空間の権利者からのクレームがあちこちで起きているが、今の所クレームがあればポケモンを削除するという対応がとられている。そして権利者の多くもそれで納得しているようだ。

とはいえゲーム側は事前に現実空間の権利者全員から許可を得ているわけではない。つまり権利を認めたわけではないが「配慮」しているというのが実態だろう。他方で金を払えばポケモンを配置する、つまりバーチャル空間の利用料をとるビジネスはもう始まっているらしい。そして空間の利用権はゲーム側に100%属していると見られているようだ。

しかしバーチャル空間側に都合のよい、またそのイニシアティブに任せた、このような曖昧なあり方は長くは続かないだろう。

バーチャル空間の使い方は急速に多様化し発展していくだろう。近い将来都市の中心部には幾重にもバーチャル空間が重なり、さまざまな方法で利用されるようになるだろう。それに伴って予知できない衝突が起こるのは避けられないだろう。

わたしの貧しい想像力で、起こりうる衝突例を考えてみよう。

自宅の庭がヘイトスピーチの宣伝ポイントにされたら、ゾンビとの殺し合いの場に設定されたら、どうだろうか。あるいはホログラムのヨーダがマックののぼりを持って立っていたらどうだろうか。家の塀が、通行人向けの個人用広告の掲示パネルになっているかもしれない。

事前に通知があれば削除を求めたり、広告媒体料を請求したりすることもできるだろう。しかしポケモンGOはそうはしなかった。またヘイトスピーチの団体は簡単に削除に同意しないかもしれない。そもそも管理者がだれかもわからないバーチャル空間が覆いかぶさっているおそれもある。


さらに、わたしが裁判に訴えても、わたしの権利がバーチャル空間に100%及ぶと認めてもらえるか、確かではない。現実にポケモンGOは現実の権利者に配慮しているに過ぎず、一方的にバーチャル空間を押し広げているが、世間はそれを認めている。

現実とバーチャル、二つの空間の間にどのような権利関係が望ましいのか、急いで考えたほうがいい。そして時間はあまりない。





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