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シンガポールで日本軍の大虐殺展示に驚いたこと

先日、シンガポール観光の際に国立博物館を訪れたところ、折悪しく改装中で簡略化した歴史展示しか見られなかった。 ところが歴史展示を進んでいくと、日本軍による中国系の人々の大量虐殺に、大変大きなスペースがあてられいた。10万人もが法的手続きを経ずに一斉に処刑されたという。親日国とされているシンガポールの国立博物館でこうした展示がなされていることに驚いた。 虐殺の規模は、戦後に旧陸軍省がまとめた調査では五千人、博物館の展示では10万人とされている。日本側に25,000人を処刑する計画だったという証言もある。 この虐殺問題は、他のアジア諸国同様、戦後に日本との間で問題になったが、両国は戦後賠償(援助)で外交的には決着をつけた。この点も他のアジア諸国と同じだ。しかしシンガポールの人は忘れていないし、日本がこの問題に真摯な態度を示すべきことは変わりない。 なお、日本軍は軍票を乱発して猛インフレを引き起こし、現地経済を破壊した。また日本語教育や神社崇拝の強要の資料も展示されていた。わずか三年の占領で、よくこんなに悪いことができたものだと変に感心してしまった。 安倍政権は(ネトウヨと同様に)こうした事件も「でっち上げ」と考えているのだろうか、展示を見ながら疑問に思った。 帰ってからCiNii論文を検索したところ、この件について一つだけ研究論文が見つかった。ネット上には怪しい情報が産卵しているが、これは科学的な手続きに基づいた論文であり、信頼性は高いと思われる。関心のある方はご一読を。 この論文は、虐殺は計画的・組織的なものであり、こうした手続きなしの処刑は満州事変以降定着した手法だったと述べている。 林博史(2006) 「要旨:1942 年 2 月にシンガポールで日本軍がおこなった華僑粛清事件は、アジア太平洋戦争期における日本軍の代表的な残虐行為としてよく知られている。シンガポールでは体験記や資料集が数多く刊行され、日本側の関係者の証言もある程度は出されているが、この事件の全容を解明した信頼できる研究が日本にもシンガポールにもない。そうした中で本稿は、この粛清事件の全体の概要を、日本側の動きと要因を中心に明らかにする。まず粛清の命令・実施要領の作成・実施過程を日本側資料によって明らかにする。また日本軍の構成、華僑政策の特徴など背景について分析し