ものを送るより、お金を送れ

国際的な緊急援助では、物資だけでなく現金を配る動きが広がっている。

受け手から見れば、現金は必要なときに必要なものがかえる。場合によっては貯めておいても良い。送る側からすると、調整コストが掛からない。必要なもの(と援助側が判断した物)を買い、運送し、配給するのは大変だ。たいていはミスマッチが起き、また配給の不平等、時には腐敗もおこる。

もちろん、現金をわたして意味があるのは市場が機能している時だけだ。店があいており、商品が棚に並んでいなければならない。またとりあえず貯めておくには銀行のATMも必要だ。今の被災地では、これらが壊滅しているために、役所やNGOが日本中から集まった物資を仕分けし、ストックし、配送し、また現地でストックして仕分け、配給するのに必死となっている。それでもミスマッチは避けられない。

こうしてみると、市場ってすごいと思う。

さらに、こうした配給制度は、被災者の個別のニーズに答えることはできない。家族構成、年齢、価値観、ライフスタイルによって必要なものはことなるが、給食は皆同じパンで、テレビで不足していると取り上げられたものがどっと届く。

ここでも、お金と市場というシステムはすごいと思う。「ミスマッチ」というが、そもそも市場とはマッチングのための巨大で謎の組織なのだ。

こうしてみると、現在の状況でも、物資を送るよりお金を送ったほうがよいことがわかる。被災地外の市場はまあまあ動いているのだから、行政やNGOは物資を購入すればよい。物資で寄付が殺到した場合に比べ、受け入れ、仕分け、ストック、運送までの手間とお金が浮く。これは大きいはずだ。

市場機能はまもなく復活する。そうなったら物資を送るのはむしろ有害だ。現地で購入されるべきものがよそで買われて送られてくるのでは、現地の経済は復興しない。被災者も寄付物資の配給は、生活再建に役立たない。おそらくもらった物資を売りに出すことになるだろう。

ものよりお金を送ることの重要性を述べてきたが、最後に誰に贈るかが問題になる。現在は行政やNGOに送ることが必要だ。被災者が貰っても使えないからだ。しかし、市場が復活してきたら、お金が被災者の手に渡ることが重要になる。被災者自身が、それぞれの生活再建プランに沿って
お金を使う必要が出てくるし、また使える条件も整ってくるのだから。したがって、被災者にお金が平等に(なにが平等なのか難しいが)配られるシステムを考えないといけない。

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